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身勝手に喚いた。
私は必死に周りに訴えた。兄さんがいなくなった、探すのに協力してほしいと。
そして、返ってきた言葉に私は絶句した。
「ゼスト？それって誰だっけ？」
そして、理解してしまった。きっとここに兄の居場所はなかったのだと。そして、私が思っているよりも兄さんは普通の人間なのだと。
理解した途端、私は激しい自己嫌悪に襲われた。吐きたくなるほど自分を憎んだ。
離れていてもつながっているなんて自惚れて、私は兄に孤独を押し付けた。一人に怯え、兄についてまわっていたくせに、兄さんを独りにした。
兄を好き勝手に偶像化して、兄さんそのものを見ようとしなかった。
何が兄を支える魔法使いだ。兄を追い詰め傷つけて、その末に兄さんはここを出た。
聡い兄のことだから、より良いと思える場所を探しに行ったに違いない。
そのより良い場所の最低条件はきっと、「私のいない場所」なんだろう。
謝りたい、自己満足だとわかっていても。
私は走り出した。周りの驚く声も静止も聞かず、ただ感情のまま走った。
＿＿＿＿
間に合ったなら次、間に合わなかったのならこの下。
＿＿＿＿
まにあわなかったね
「あ、」
あかいろ。
おかしい。だって兄さんの髪はぼくとおなじ白で。目もおなじあおいろで、あかいろなんて、
無
酷く損傷していても、すぐに兄だとわかった。
剣も魔法も使えないのに外に出た馬鹿だとささやく声が聞こえる。
うるさい。兄さんが魔物の闊歩する外に出たのは、そういう心無い声のせいなのに。
あ、でも私も兄さんの苦しみに気づかなくて、というか兄さんが苦しい思いをしたのは僕がここに連れてきたせいでじゃあ僕のせいじゃんこんなぐちゃぐちゃになっちゃったのもにいさんがいやなおもいしたのもかなしませたのもぜんぶぜんぶぜんぶ
「なあんだ、私のせいか」
周囲が一斉にこちらを振り向く。どうしましたか、と声をかけてきたのは確か、えっと、誰だっけ。
まあいいや。私は兄さんを悲しませた。それを償わないといけない。どうやって？
兄さんを傷つけた全部を、めちゃくちゃに壊しちゃおう。
赤、赤赤赤赤赤赤赤。
その日、一夜にして国が滅びました。
生き残りはゼロ。最強の魔法使いと言われた青年も、兄の墓の前で亡くなっているのが見つかりました。国が滅んだ原因は未だ不明。
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あいすくりぃむとちょこれぃと(プロフ) - すにすな＠さくらぁさん» またまたコメントありがとうです。兄がぽんこつならもちろん弟だってぽんこつです。間に合ったルートは(弟的には)ハピエンです。間に合わなかったルートも(どっちも壊れちゃったから)ハピエンです。 (4月23日 14時) (
レス) id: b2ed5b6349 (このIDを非表示/違反報告)
すにすな＠さくらぁ(プロフ) - またしてもコメ失礼します🙇♂️弟視点に命が助かりすぎました。まさかの救済ルートか！？と思ったら案の定そんなものはなく…やっぱり可哀想な男はどう足掻いても可哀想な結末しかないんだというのを再認識できてとても良かったです。 (4月23日 7時) (レス) @page25 id: 6eb52e408b (このIDを非表示/違反報告)
あいすくりぃむとちょこれぃと(プロフ) - すにすなさん» コメント感謝です〜こいつは実は弟より全然頭良いです。頭が良いせいで頑張っても無駄と気づいてしまいました。それでも他にやりようはあったのに、『逃げ出す』という一番の悪手を選んでしまうぽんこつです。作者もお気に入りなのでもしかしたら続くかもしれない。 (4月8日 23時) (レス) id: b2ed5b6349 (このIDを非表示/違反報告)
すにすな(プロフ) - お話の世界観や最後の後味の悪さに引き込まれ、一気に読んでしまいました。特に2作目のおにいちゃんのお話が大好きです。一生懸命頑張ったけど報われず、最期の瞬間は惨めであっけない男が好きなので、ゼストおにいちゃん最高でした。密かに更新楽しみにしています。 (4月8日 22時) (レス) @page21 id: b675f659fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あいすくりぃむとちょこれぃと | 作成日時：2024年4月6日 3時
